ジェットの考察
ジェットは琥珀同様に非常に古い歴史を持つ有機質の木の化石で
古くから儀式や人々の生活に根付いていたが、古代の文献等の資料も少なく
本来のジェットだと言う現物も不足すぎプロの鑑定士も含めて
誰もが憶測・推測の域でしか語れていないのも現状です
ジェットに対する人々の取扱いが、儀式や薬り・身を守るパワーストーンから
ビクトリア女王が何十年間も喪に服し身に付けていた事実が
世間に知られたことにより大衆がそれに注目し始めた
ジェットはジュエリー産業として国益を支える程の産業となったため
黒くて軽く見た目の条件さえ似ていれば、たとえ別の素材でも
「Whitby・ジェット」の名を付けて固有のブランド名として製造・販売したので
現在に残るアンティーク品から天然石ジェットを探し出すのは困難な現状です
ちなみに時代背景として当時のイギリスは貧困の差が激しく
食べ物にまで模造品が出回る模倣時代でもあった
天然ジェットよりも細かい細工が表現し易く、簡単に型抜きされ安価で大量生産できる
ポルカナイトやバルカナイト等の加硫ゴムが発明され産業が急拡大しました
現在でもアンティークの世界に数多く残ってますが
この中から天然ジェットの製品を探し出すのはプロでも至難である
本来の原石を使用して産業を堅持するために
他国からの輸入を増やしますが
大量の原石の中に含まれた粗悪な原石と職人の技量の低下で
すぐにひび割れたりする等の粗悪品が出回り
信頼の崩壊と需要を終え世界恐慌とともに模倣品のジェットは終焉を迎えた
このことから模倣材料による固有ブランド名時代により
本来はパワーストーンである魅惑のジェットが
模倣品による市場の席巻で本来のジェットの魅力を隠してしまった
他国でジェットが取れると
世界中でどれが本物であるかとのジェット論争が常に起る
推測として儀式やパワーストーン・お守りとして利用されていた
当初の時代に立ち返れば、元々ジェットは当時の原石と
現在採取されている原石に多少の違いがあったと推測されます
一つは倒木した特定の木が海や湖などの底で
沈殿物をかぶり腐敗せずに地中で化石となり偶然地表に現れたもの
ただ、条件的に稀であるため当時は採れていたとしても
現在は採り尽している可能性が高い
そのせいか現在ジェット発祥の地イギリスでも採れているのは
次に記するもう一つのタイプが採れている
もう一つは、倒木した木々が海水湖や湖底などのくぼんだ地に堆積し
泥や周りの植物やプランクトン等の油分と自身の樹液に包まれ加圧されて
一体化した堆積層となり保護され化石化し
地殻変動や火山の影響で地表近くに現れて稀に採取されるものがある
この形成のされ方を権威ある地質学者であり宝石学者でもあるアメリカの博士は
ジェットはオイルシェール環境で形成された堆積層から出来ると述べている
この特殊な堆積層は炭鉱の鉱脈と違って採取地が稀であるため
量も少なく天然ジェットは希少と述べている
石炭地質学者でもある博士は石炭とジェットの形成される
プロセスの違いの理論を持っていてジェットと瀝青炭をみごとに分けている
余談ですがいろんな状態の木々が一か所に集まり埋もれるので
まれに樹液の塊を出した木が混ざるとジェットの産出地から琥珀も産出します